金儲け自体を人生の目的にしている人、又、徳がないのに出世したがる人を待っているのは、単なる世間一般からの嫌悪や憎悪だけでなく、無限の挫折もだろう。羨望されたいとか、自慢したいとか、虚栄心を充足したい、という我欲に突き動かされ行動する人は、単に卑しさを増すばかりか、徒労した挙句軽蔑を買うのだ。
愚者を道連れにする者の労苦が増す様、貪婪な者を友にするのは自ら苦難を買って出るのに等しい。しかもその果てに待つのはねたみややっかみといった不幸の鬱積だけだ。
賢者はひたすら中道にもどり、自らの能力を利他性の最大化に集中するがいい。悪しき者や蔑むべき者、卑しい心根をもつ者から遠ざかり、その者の発する情報の一切を見聞きするな。意識のいかなる点についても、その種の愚者の為に用いるのは多少あれ有害である。単なる反例としてさえ悪徳の実例は極少量で十分すぎるし、理解しがたい愚者や悪人を苦労して部分的に理解したところで得られるのは失望や軽蔑の念だけである。