2016年8月20日

芸術論

芸術上の優越は生得的、生まれながらのもので、天才性の高度な者以外にすぐれて創作的な活動はできない。また芸術の品位も、人格から流れ出ている趣味の適用された一部である以上同様に、生まれによっている。
 商業芸術は劣悪で下品な作品を称賛し且つ報償するが、この商業的成功の汚名は当の作者が生まれの悪い事を証明する。大衆や商人は最も低俗な人々であるから、大衆的な制作物は金銭的報酬によって最低級の品位、卑しさを目的に売り買いされる。従ってこの逆に純粋芸術が高貴な芸術家の目的物となる。純粋芸術が商業的成功を得る事はなく、商業芸術が純粋芸術的な成功を得る事もない。両者を評価する人々は、生まれが正反対だからだ。これらの中間には中間芸術があるが、その特徴は両者が混在したものにすぎず、他の意味を持たない。