2016年8月17日

利社について

愚かな人と付き合うな。賢い人につき従え。
 賢者は徳を勧め、愚者は退廃を愛する。賢者はある考えの持ち主が多数か少数かに関わらず徳性を判断するが、愚者は無視する。愚者は徳性が同調する人間の多寡によると考え、徳性自体を判定しない。現実の徳は賢者に付随した幸福の原因である。愚者は退廃の為に群れが大きくなるほど不幸を、賢者は徳の為に幸福を拡大していく。
 賢者が孤立しているか愚者が群れているならその国民は愚かであり、賢者が群れ愚者が孤立しているならその国民は賢い。賢愚が比較的であるなら、賢国と愚国は人数の多寡によらず存在し、賢国は相対的に幸福である。
 徳は自分にも他者にも最善である様な中庸の振る舞いであり、且つ、利他性を離れない。利己的で害他的な行為や害自的で利他的なそれは、いずれも最善でない。私徳は利己から出発し、公徳は利他から出発するが、いずれも中庸、自他を共に利する社会的行動、即ち利社性が最善である。