2015年12月3日

文明学

増えすぎる人口を抑制することを文明という。勧善懲悪に対する弱肉強食を自然という。文明は都会化させ、教育過剰を目的にした金儲けを奨励する。文明は口減らしであり、人間の多様化を試みる特殊地域である。文明の定義する文明的善は反自然淘汰であり、自己犠牲的な利他性である。
 一方、文明は生物界や全人類からみて必ずしも正義でも善でもない。文明は特殊的行動類型をもつ変化適応の蓄積されていく試みにすぎず、現実にはそれが極端化した時、環境適応度を最小化し滅亡を彩る徒花である。人類は文明を過信し自滅してきた。生物本能からみた文明は、不自然で、非適応的である。完全に多様化した人間は、相対的に弱小集団化し、滅び去る。野蛮における正義が、文明の利他的な善を破壊し蹂躙してしまう。
 野蛮は単なる行動類型であり、本能に基づいて行動している利己的集団である。文明によって奴隷化されなかった野蛮人は、必ず文明、都会を敵視しそれを滅ぼす。なぜなら、野蛮にとって都会化、金儲けは偽善だからであり、人間の多様化を強圧的に誘導する事は利己性にとっての敵意だからである。
 この二派は常に多少あれ敵対しあい、同時代的に抗争を試みあっている。ある時代の中心都市は文明を自称し贅沢を行うが、他の集団はその過度の大盤振る舞いを浪費とみなし、権勢を奪取したがる。こうして非文明圏とみなされた地域または周縁における技術革新をある文明化の現象自体が促し、産業転換による文明の移動が進んでいく。