善悪に浅い者は、真偽を判定できない者、美醜を見分け得ない者、正邪を区別できない者と同様に特定の機能を持った知能が劣っている。衆愚は善悪を見分け得ず、俗物同然に悪業に驕っているがそれ故に自壊的である。動物はいかなる善悪も判定しないのだから、本質的に利己的な動機でしか動かない。互恵的利他行動ですら利己性に過ぎないが、人の理性に関しては利他性の範囲や強度が高い者が人の中に存在し、彼らの善は凡俗より高度な知能の達成である。
普遍的正義や共通善について認識し得る者は、より優れた正義を認識し得るが衆愚にとってそれは永遠に不可能である。衆愚は善悪を判定し得ないばかりか、相対主義的世界観しか持たず、正義についての共通集合や時代を超えた絶対性を理解できないのである。それは、単なる卑俗な経験に基づいてしか物事を認識せず、歴史や国家、地域、文化の間にある必然的関係性について認識した事がないからである。即ち衆愚は業や、普遍的正義を理解しない。それらについて分かっている者とのみ親しめ。