2015年1月21日

未来から届く手紙

あお春の新緑のごとく君想う
コーヒーの瓶にうつりし緑かな
南から流れてくる雲冬をゆく
星の中町の明かりも星屑ぞ
未来から届く手紙に君想う
松風に潮風混じり砂白き
矢のごとく時の川辺にねこじゃらし
始まりの鐘は鳴りけり月天心
焼きすぎた刃のごとく我思う
片手のみ残りし戦芸術家
芸能のオレンジ色のネオンかな
福島のサービスエリアの割烹着
淀みなく予定調和の菓子消費
しゃらしゃらとお馬のゆくぞ結婚式
銀色の宇宙に寝ては流星群
扉あけ勇者入れば栗きんとん
たんまりとフランス旅行の雁がねよ
ギター弾き銀行員の趣味の茣蓙
お香にもとってつけては夜深まり
薬缶なくあるのはさらにさらさらに
たらちねの月ただまみえり母のごとく
太陽に烈しく求む虎吼える
ラーメンに伸びた砂漠は我らの吐息
かまいたちスーパーで買えばピラミッド
照り返すテールランプに君うつす
速球はミットに収まり清らなり
横殴り台風一過神すさぶ
灰色の巨大な空に押しつぶされる
まわりつつとんび鳴きけり水色の空
闇ふかく沈んだ沼のこきはなだ
牛あるく水戸の牧場のどけしや
何重に虹の向こうに雪の降る
命さえ金塊よりも満天に
みぬうちにまちの姿は香りなす
何度でもはるかな川にもみじ映る
ゆきだるまねこのひたいにつららの水
ユーチューブあなたを想うほっぺたよ
唐紅トントンと打つ大工の身
千葉の雲照る紅葉に千切れけり
やたがらす10円くわえ花火見る
そうぞうのさぞあかるしやマリアの日
仏典に時を忘れて星しずか
石南花のピンクの花の庭歌う
海笑い砂浜に吹くトルマリン
さばさばと頭上に世界閉じる本
先駆けて鐘の鳴る間に竜神橋
君想い手紙の白は絵を載せり
すすきのはら工場跡地われひとり
きつねさんススキ野原に月を見る
新宿のセンタービル都市の暗黒
夜の中ひびく流星松風よ
うなばらに北斗七星掲げけり
生まれては消えゆくいのち星の色
旅先で見た渓谷のささめ雪
金色堂ふりのこしてや流星群
佐竹寺しずかに立ちてわれ静か
五浦の展望台から太平洋
みずみずし君の両手に林檎持つ
片栗粉まぶしたように若き雪
鏡餅気づく間もなく月過ごす
ゆず湯にて浮かぶ心はぷかぷかりん
立ち止まり筑波の道に紅葉見る
筑波山見渡す遥かに富士さびし
茨城の田のはてしなく街ゆたか
姪っ子と花園川に薄の船
夢のごとし我が町に吹く冬の風
さっぱりと音沙汰もなき友とめだか
草葉にて日立の庭にチンチロリン
日立駅海はうつくし日は尊し
新宿の闇とネオンと外国人
さるすべり椿ちりけり家の跡
発つ鴎大津に住みて通る皇
かんたんな午後の緑茶は久慈深し
うららかな冬の陽ぬくきサンルーム
電柱に鴉止まりけり柿の色
しぱしぱと目まばたけり木瓜の花
鬱蒼と森茂りけり竜神谷
鮟鱇のどぶ汁はても世界一
冬の陽にほしいも食べて息をつく