ウィトゲンシュタインが語り得ない事を沈黙せよ、と考えた事は、彼自身がある考えを抱いている証拠な限り、言語による人類の考えが社会秩序の命題を持つと教えるに過ぎない。この主題は始め哲学として、後に社会学或いは社会科学の真偽命題として現れ、人類を自然状態ではない何事かに誘おうとするが、実際の自然性の前には無力を呈する。人為社会の定義は、自然性の前に義務の命題或いはべきの命題を対置させて成り立つ。そしてこの人為命題の抵抗力のみが、自然状態に比べた人類の尊厳であるといえる。一般に、この人為命題は当為といわれる体系で、この場合の真は善といわれている。