2012年5月2日

春の月

だれだって
その小さな手
だれだって
それをつかんだことはない
もし大宇宙が
きみをけしてしまって
このよのおもいでが
きえてしまったとして
単純なルールで
うそをいっているだけ
もしまるごと
この星がきえてしまっても
あなただけの手ににぎられた
そのすべての美しさは僕のもの
夜はそこしれず
ほしぼしをいまにもおとすだろう
あなたのそのそらに
ふっているおおくのラメを見る
そういうときにさえも
うごきだす朝やけのなか
月をしずかにてらし
ちいさくいきをすいこむ
もしなにもかも
気のせいだとしても
もしなにもかも
おわりゆくことだとして
このしずかな夜に見た
あなたのすべては春の月だ