海からの風の名もなく吹く風よ
夜をへていなくなりき蜂の女王
ミンミンとカナカナにわか傾きぬ
涼しきは都はなれてしれるなり
なつかしき朝は失う走る虫
かざあしをこえてゆきけり車ども
みとに来し漫画の文化みじめかな
曇りぞらラヂオヘッドの歌かなし
港より迫る夕陽を眺めけり
畠するおばちゃんの横を啼く蝉
売れるほどつまらなくなる商い
なにもなき所に真理あつまりぬ
空き地占め間をみるベンチ悟りける
かわりなき公園は命はぐくむ
消えゆくもの根づかず
夏ありしアスファルトにくき車ども
やむをえぬスプリンクラーの芝生しく
山あいに鳴く雀ひとり恵まれし
遠出するあとは車の熱痛し