2010年6月11日

夕凪

過去から未来までを貫く
一筋の閃きを辿る光
どこ迄も底抜けに明るい
この世の上を走る光
誰の為でもない
一人ならばそれは
おそろしい形相の
鬼火けどいまでは
誰からも忘れられた荒涼たる
仙台の崖のうえに築かれた墓場に
その残り香があるだけ
疾うに過ぎ去った道の上
人からはきらわれた杉林が
語る海風の物語
誰の眼にも明らかだろう
この世をこえて
どこへでも延び行く
あの宇宙船のそらは
水色のあかねさす町の上
だれもに信じられてた真は
きっと気のせいって
あっという間に忘れてしまった嘘
小さな貝殻にこめられた大海原の唸り
走り去る大地に息された酸素は
そこから生まれ来るいのちの源
昔はそうだったってこと
海の上に浮くぼんやりな望月
だからって日が昇らないではないのに
限りなく澄み渉る冗談じみた自由と
自転車がすべりゆく道を見よ
誰のためにも正しい答えが一つだけ
あるとしたらそれが落ちてる
深海の底のみにくい光景を
まるで自分らを見返す様に
おもいかえしてみよ
だれも京都への修学旅行なんて
そんなどす黒いいやな気分だ
何度行っても拭えない浮ついた空気と
国家の独裁者の血族が住み着いてた
その腐った臭いが拭いきれないから
天王洲に架かった橋の上で
ぼんやりと昔を思い出す
私は以前からここで
綺麗な物を集めてる子供
とても小さな物から
大宇宙の席取りまで
いつでも勘違いばかり
あなたは忘れてしまった
私は綺麗な物なら
決して見落としたりしないのに
宝石から貝殻まで
小川のせせらぎから七夕飾りまで
私の眼にかなわない
珍しさはない
でも忘れてしまったあなたは
私が大切にしていた夕凪を