2010年1月24日

人類生物学

人類にあって、有性生物一般とはかなり違う雌雄間の逆選択が働くちなみは、社会的圧力。とてもまれな例だが多くの哺乳類の如く、孤島化しほぼ世代間競争の解除が起こっているくらしでは雄性への選択誘因のみがみつかる。つまり世代間抑圧がこの社会条件の鍵で、それは特に雌性の側からの選好みを押さえ込む方向へ強く働く。結局、理性はとても著しい形質でこの遺伝子の源は抑圧を性選択での決定的判断の引き延ばしへと導いてきた。だから更にいえば雄性でより特徴づけられる理性の程は、その遺伝子が過去により引き延ばされた選択経過を辿ってきた証で又この程は競争的。
 もし幼型の必然さが対遺伝池へえり分けに働いたなら理性分の幼型成熟比は益々この形質を促し、他のいうなれば安売りされている多分に発情し易いそれより魅了的となった筈。要するに、理性が大脳新皮質を誇大化させて行った大きな原動力は性選択での主導権争いにあった。
 現実社会の次元で考えられてきた知性万能論は決して人類生物学の眼で見渡すと都合通りでない。ここでは、知性とは引き延ばされてできた空白期間を、特に雄性に限って後先しれぬ獲得した道具立てとみたてた時のみ推し量れる。そして高度に文明化したか又は現代で一部の特権集団の外ではこの知性自体へのえり好みは、おもに雌性の能力不足のため強調されないでおくか、双方向にわざと隠されもする。段階にみた文化内での傾きは、空白期間としての若年猶予を結果の勘ぐりのみで評定したがりその方が、おもに雄性については好都合だからそうされた侭。選択の双方向さは先進国系の現代文明では空白期間の自由をより雌雄間へはるか裕かに与えたが、他の進化に等しく改造は節約する。つまり天分を補う獲得量としての学習は、多くは生産量に関する社会的誇示の枠内で性選択用か自己応用の余地をより賢い系統混淆の手だてとした。これらは、私には次の近い未来を十分に教える事実だと思える。知性自体への選好みはその系列遺伝を急激に強めるので、他一切の既存の選択原因よりも短い目でみて圧倒する広がりをみせる。但し、最も人類の系統発生の伝統に適う理性による選択遅延の慣習と名残りはおよそこの系統論の中身にも入り込み、知的審美性(哲学では直観と言われてきた、直の感覚刺激のみには省みない悟り澄ましの能力)を執れるだけ最良の長い目でみる一系統を、血統書の中で支配的完成種とするだろう。連続した推論の確かさにみた選れた直観を完成の域へ導く社会性あるいは文明性の血統が、人類にあっては地球圏生存の基調になりそうと予想され、この能力はまた地球外折衝の接客方針にとってもたしかに選ばれた最適な行動というべき仕種を本能的な直感(こちらは寧ろ生きる場面ごとに微調整されゆく細やかな感情とよばれるのが相応しいが)と擦り合わせられる唯一の回路らしい。