2009年12月19日

天体経済学

宇宙の構造は外側の文明系ほど高速度で発展することを明らかにしており、従ってこの文明がもし中間的な存在なら、つまり天の川銀河系が宇宙系の内でも中間帯に近いなら近いほどそこでより遠くまで栄え得るのは工業である。
そしてこの天体の宿命と仕事は、周縁部の極めて優れて知性化した一部の文明から高い数理集約型の原材料を輸入し、これを惑星内かその周囲の工場で加工しくみたててから、より生態密度の高く遅れた発展しかなしえない中心文明圏へ輸出貿易をはかることだ。
 これらの原則は、星内の秩序がどの文明圏に属するかによってその惑星経営の観点をきりかえるべき、臨機応変の視点を要請している。つまり属する惑星が周縁部にあればいずれ貿易の自然によってその殆どの知的活動は集約した数理発明へと集積し、他の産業は星外へと外注する方が合理的となる。なぜならその光速度比が中心圏の過疎的な文化よりも素早い展開を可能とするのだから。逆に、もしもその惑星が中心圏に属するほど遅延していく運命なら、いずれ輸入された完成製品の売り買いによってしか周縁圏と同等以上に繁栄した、か高度に技術化した生活は営めないだろう。そして中心に属した彼らが交換に与えるのは、きわめて鈍い働きと同時にいくつかの古代大文明圏によるふるきよき伝統工芸品という代価だろう。