2009年5月30日

趣味主義の思想史的経路

知性的集団の勝利という現実は、個性の多様さが保障された群れの方が形質の均質なそれより勝負強い、という経済的分業の法則と根本で一致していると言えるだろう。もし個性を尊ぶ一群と、和を貴ぶかれらが勝負すれば、どちらも協力行動上では一定の規則を持つとすれば既に結果が出ている。単純な機械は複雑なそれよりもたくみであることは殆どない。キリスト教の抗議派倫理は、普遍派のそれに比べて個人主義を徹底させたところに勝因があった。信仰を信念と合わせた時に先ず功利主義が、次に実用主義がそれぞれ英米からあらわれた。
 こういう道理で、もしも趣味主義に必然性があるならそれは個性を和よりも尊ぶ本音の領域へと、協力的ではないながらも求道的な生業を持つところに見出だされるだろう。趣味の領分ならば大勢の方針と和する必要はない。