2009年4月12日

生物学

一般に、内的増加率戦略(reproduce rate strategy)の区域ではその生物種が対称形を最美と見做し選り好みし易い傾向がある。他方で環境収容力戦略(Kapacity strategy)下ではその逆がかなりの具合で発見されるらしい。乃ちそこでは特有の非対称さを選り好む場合が多い。
 我々はこの原因を、r戦がその場の広域な為に急速な支配を目的に経済的完成度を求め、k戦が隔離の区域にあって寧ろ既得の場所を奪い返す新しい変異を好適とするからだと結論できるかもしれない。言換えればk戦の起きている場所では環境抵抗下で如何なる突然変異を誘発するかに性選択上の焦点が移ると謂いうる。おそらく幼型化の傾向はk戦下で、成熟化のそれはr戦下でより急速に精選されゆくであろう。時間的にも非常な程度で固定した適所ではそこへ要求される適性の的を射る変異が出現する速度が、かなりの広域で幾らでも逃避可能な拡散の条件下よりずっと珍しく特殊化した袋小路へ選好をいざなうべく速くなる。
 処で、隔離された小領域でも広大な開放の場でもない、或いは両方の特性が交じり合った半開きの適所がある。殊に外部種の出入りが自由だがそこには一定の定員がある様な場所または場合。多くの生物が進化するのは前述の二方ではなくこの第三の適所に於いてである様に見える。なぜなら進化一般はr戦内での勝利(既存種の完成)とか、k戦内での突然変異の集積(幼型的変種の形成)よりは、新規の習性を要求する今までとはことなった適所を発見しその場を寡占することで果たされ易いのである。当然この希な隙間では既存種とは違う習性をもつ明らかな新種が作られ易い。
 この第三の道に於ける適応の型は臨機応変型戦略(ad hoc strategy)と呼ぶことができる。もし環境抵抗がなんらかの誘因から一時的に増大すれば新変異を選好するだろうし、そうではない時には完成度を示す成熟した種をより急速に増加させ易い。だがこのa戦略を生む適所は謂うなれば時間の中に存在することの方が多いように思われる。結局その場所も続く世代の内で環境の変化が一定の周期に捉えられれば外来種の流入がない限りは収容戦域に過ぎず、逆に既に多数の勝利を収めた経済的優位種で占められていればその周辺へ向けての増加戦域と化するだろう。