2008年9月11日

生物学

Neoteny化・幼型化は必ずしも進化の正道ではない。人類が類人猿の幼型化に近似した特徴を示すのは恐らく偶然によるところ多大である。直立二足歩行は新たな適所としての平原への見晴らしに関する適応から、従って直接の脳容量の増大は開放された両手の道具の使用から導かれたと考える方が理にかなう。
 特定の獲得形質が長期に渡り有利となる隔離場の広さが多種との競合をもたらさないだけ小さいなら、この場合に特定の順応型への最適化として幼型化という進化の袋小路が引き出されてくる。しかしこれが新種の形成に一契機となる可能性は否定しない。
 広大な土地で絶えず多数の異種に脅かされる生物にとっては、新たな獲得形質を促す成熟度の方に力点が置かれるだろう。この為に属する土地へ最大優位な勢力を有する種は、他のどの種類にも増して特徴の著しい偏差を伴う筈だ。そして少なくとも幼型化した個体群は、限定された適所を除いては新たな環境での成長速度に劣る為にそれより他への適応が困難となるだろう。
 これらが故に、neotenyとは新種形成の可塑的な条件というより以外では、順次に大きな土地からは姿を消していく特徴固定化の過渡形態であると言える。