天才とは生得的独創性すなわち各個性に与えられた学習質量の違い。しかも生涯学習者の領域を出ない秀才とは、その個性について程度の違いしかない。どんな学問であれ消滅せず記録される限り、言葉という記号を扱う文学の才能。Aが百日で到達した理解にBは千日かけるかもしれないが、少なくともかれらの違いは生得性と後天性との相互作用に関する能率。そしてこの種の能率についてのみ、我々は才能という観念を各個性の間に比較できる。
芸術がすべて非学習的だという訳ではない。ただ合目的性についての学習能率があるだけ。よって、芸術の才能についても先例に対する関係という学習能率にのみ努力の、即ち創意工夫による適応能力の定義は当てはまる。