全ての審美感情は趣味道徳に従って進む。
一般に軽薄を吹聴する流行がある時代は少なくとも俗悪を故意に誘い、人間淘汰圧を高める自然からの裁きを受けている。これは心理的な環境抵抗として多くの堕落した俗物を斉す。併しかくあればこそ、古来から伝承した高い道徳慣習を保ち得た者は優等さとして、尊ばれつつ生き残り易くなる。
肉体を精神より高く評価する退廃はみな、以上の道理を野蛮化の再生として巻き戻しているに過ぎない。精神は肉体の結果だから。そしてその時代に清らかな心を最善に伸ばした種は益々、希少性の中で審美感情に適う様になる。