2008年2月11日

数学論

数学は単に人間の思考モデルである。我々は仮に社会学を含む自然科学をこのモデル体系で理解しようと努める。この意味で、あらゆる自然科学は数理科学すなわち数学に比べて多少あれ実践的だろう。悟性すなわち理論理性の思考に関するパターンだけが数学が探求する命題だ。カントの悟性説をアインシュタインが批判して、物理学上の概念は直観に由来しない自由な構成物だ、と主張したのは単に上記の数学の自律を哲学的に批判し直したに過ぎない。直観主義数学は形式系がゲーデルの証明により確立されて以来、単にユークリッド幾何学のcategoryに集合される。従ってそれ自体が死んだ訳ではないが。
 哲学とは自然科学の実践社会学的方法論である。数学は文明内文化的に行われる悟性の積み木遊びだろう。ともあれその緻密さ、壮麗さはあらゆる科学建築の原型となる。