2007年5月15日

悲運

君を理解できる人間はこの世の範囲には君独りきり。共同化が慰めうるのは祭り事だけ。果たして人間に、他から完全に理解してもらうに足る聖性が一度たりとも獲得された例しはなかったが知能の特徴は個性的故に。世に居られるうちが花。現し世には孤独より愛すべき何事もなし。天才は豚より不幸である、勉強するのはソクラテス的慈善の為。天才は孤立のあまり自殺しなければ人類に飽くまで異和するものだ、進化の法に則りて。いい加減に彼らを苛めるのは辞め給え。凡人の哀しさは真贋の見分けがつかないがゆえに奇形もろとも彼ら、人類の至宝を無闇に殺してしまう事だ。天才は優生的突然変異であるがゆえ二度と比類なし。この地表で最も貴重な種を黙殺し死亡させてしまえば人間の不運は限りなし。凡人の無恥による悪行もまた因果する。即ち、聖人を安易にも殺した連中はいずれ祟りに遭うしかない。
 仮説。もしヒトラーが迫害軟禁されていればドイツ民族はやはり植民されていたか。可哀想なユダへの祟りはいつまでも尾を曳いては祓い得ない。人間の愚かさ。仏陀のたまわく怨みは棄ててこそ止む。同類を妬むな。奇形にあれ天才にあれ貴様らを根絶やしにはしない。滅多な事で同類を殺め為さるな。そこには悪業の連鎖しかない。