2007年3月30日

文士論

先進知識人とは丁度、社会全体を生体に喩えた時、外胚葉的抹消神経すなわち大脳新皮質の如き理性に違うまい。
 彼らは創造的適応知能に関する時代内淘汰を経て特権を任されているのだがそれは階級闘争として知れる、代わりに、常に貴族の義務を負う。でなければ彼らは腐敗せざるを得ないのだから。それが彼らに喜捨的倫理をもたらし、一般民衆へもやがて伝承する。又、知識や美意識においても同様だと云われて然り。則天去私とは文士の極度を表明した語句。それは世俗的無欲と最上流の知的特権を最大限に活かしきる求道の志を云う。彼らは俗間愉楽の犠牲となる事で、自らの魂から浮世より高尚の精神を現世へと抽出する。かれらは権力や金利から独立することで已、在野に不変の地位を確立する。
 ジョン・スチュワート・ミルが主張した質的功利主義は、最終的に文士の先導的な啓発に帰着する。