天才は相対的な理念。それは他の人類が同時代の範囲では如何にしようと追いつけない傑出した能力を意味するにすぎない。蓋し、その才質が人類の範囲を超えることは永久にない。よって万能の天才と云えど神格は当為たる已。
人間は競争を天才擁籃の方策として自然から一部採用する。彼らの究極の文明社会においてさえ、決して種内闘争が暫時階級の姿を取って現れない事はない。よって社会主義とは調整理念であり最後まで配分的事実にはならない。我々は同類を利用価値に関する絶対敵と見なす人物を必ずしも非難し得ない。彼は上記の筋書きを辿るごく自然な人間。智恵、倫理、技能といった諸能力でさえ搾取以外のどんな目的も見出せないが、その結果が文化的に波及するにあたって精神の計画が福祉という形で成功したのを我々は観察する。