しかし、少しずつ何かが変化し出す。地球は回転し続けているからだ。
女達の中の一人はいつの間にか、東京ディズニーランドに沢山居るみたいな、クマのぷーさん風味のキッチュなぬいぐるみを被っている。このくそ暑いのに! そうかと思えば沖の方から大きなサメがやってくる。映画ジョーズのテーマが背景で秘かに流される。
不吉なムードに気がついた女のひとりが友人に危険を知らせる間もなく、巨大な姿態が海面に……と、じつは鮫の
夜になり、朝が来る。海岸線は様々にかたちを替えながら地球温暖化の影響を敏感に受け止める。
空ゆくカモメの一羽が急降下してる。あれはジョナサンだ!
「エビのチリソース煮とライス・サラダ・スープのセットですね。かしこまりましたー」
店員は奥のほうに帰って、えびちりいっちょーとかなんとか叫ぶ。
「懐かしいね」
と、女が言う。
そうだね。記憶に違いが左程はなければ、昔、僕らはあの白銀の浜辺で濱崎あゆみのメモリーズを元気よく歌ったものだ。
「あれから随分、時間が経つ。いまでは二人はよっぽど年老いてしまった」
「けれど、あの頃よりずっと幸せだわ」
「或いは」
すると、カーット、の声が掛って、演技は一時中断する。ダメだめーっ。そんな臭いセリフがリアルに聞こえるわけないだろ? もっと自然に。小説じゃないんだから、いい? チャンスはもう一度だけだよ。
さあいくよ。リスタート
「あの日のきみはほんとにきれいダッタね……」
こらこらーっまたダメ。ほーら、なんにもわかっちゃいない……。だからお前みたいな三流役者は仕事とおまんまに今日だってありつけないんだよっ、ナメるなっ。バンッ。監督っそれ以上やめて。
もうお願いだから彼をイジメないで……おねがい。なんだあ? お前、単なるグラビアアイドルの分際でカントク様に逆らう気かあ~いいご身分だな、おい。あ? なんだ、その表情は。ははーん、さてはおまえら出来てるなあ? おい。AD、こいつらダメだ。降板させろ! 直ぐこーばんだっ。カントク。ボクも反対です。素晴らしい演技だったじゃないですか……まるで俗物作家の鼻がひん曲がりそうにへたっぴな会話シーンみたいな光景でした! 是非ともこのまま続けて下さい。お願いします! うるうる。だーめだこりゃっカメラ。引き揚げーっ
ぱおーん、とわななく象の一匹は自分がどこから流れて来たのか知らない。灯台が遥かに照らす行き先には、一体、何があるのだろう? 象は大きな瞳をしぱしぱ瞬かせて見る、象にも
象はやがて辿り着く地上の