いくつもの時間が過ぎゆく窓辺に立って、朝焼けが通り抜けるのを待っていた。君は七色の雲が舞い散るのを見た。空から約束の船が降りてくるのを観た。
やがて地上を遠く離れて、小さな青い星が看えた。あたかもそれはかつて自分が住んでいた場所の様であった。
飛び去っていく舟の一帆に紛れ、遙かな海を游ぎ渡る。時計が壊れ、現在と将来の関係はなくなる。すべては同一平面で繰り返される貫入のパターンに過ぎなくなる。
隙間なく吹き抜ける波の形がいつしか、旅の目的すら受け流してしまった。星屑の瞬きが大空の秩序を照らし、美しい記憶をおしなべて壊してしまう。
やがて君の今は自由の呼ぶ声の為に語り始める。世界はこの様に創られた。そして物語りは地上のものとなった。