鈴木雄介ブログ
2006年10月29日
夜明け
雨が降る。時は霧のように空中を舞って、夜を満たす。
瞳は闇の奥に眠る誰かを観る。静かな波の音が部屋を浸して、彼の寝息を融かし出す。水は光と混ざって空間の密になる。
魚の尾びれが鼻を微かに撫でて、彼はくしゃみをする。それで夢は醒めた。
瞳は朝日を眺める。記憶は再生し、懐かしい風をかぐわせる。多くの自動車が走り出して道路を往く。曇り空はやんわりと世界を青味がかかった灰色に染める。
草木は小雨に湿り、お辞儀を繰り返す。
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