2006年10月13日

地位の倫理

知能格差は社会階層を造る。社会階層は個別には厳密ではない、常に例外を含むが、総体として真実。これは我々の集団生活の工夫だった。たとえば猿がmount positionで地位を示すが如く、彼らは時代に応じて同様の肩書きを設く。この便利に従って体制は造られる。Marxistが唯物史と名づけた社会運動はこの範囲にある。
 だが地位を即揚棄することがどうして条理だろう。賢愚を同列に並べて同等に働かせる行為より粗野な暴威があるか。実存主義者が体制構造による少数の犠牲者に同情を寄せるあまり大多数の組織的秩序を一度に破壊して良いものだろうか。これは共産主義革命の不能を物語る。地位肩書きは文明の方便。それを否定するのは狭量な怨恨に過ぎない。我々の為すべき社会改良への福祉は只に、地位自体の権利平等推進にある。
 地位肩書き間の等価性が労使間格差を是正する働きを持つ。知能は協力分業の道具。同類を奴隷化する武器ではない。