語源学を突き詰めれば、とある語体系内の語彙語法はほぼ無限と云える。なぜなら順列・組み合わせによる工夫余地が常にある。よって語間に優劣はあり得ない。全地球言語は等価だろう。もし差異があるとすれば、それこそ言語の文化的価値。
文学にとって学術的に、文化的な価値があるとするならば、それは語体系間に潜む差異を詳細綿密に浮かび上がらせる中にこそあるだろう。よって文学にとって語学、特に、そのうちの語源学は座右の方便と見なされる。文学者にとって語学の肝要は、文化相対観を養うことにこそある。それは彼らにとり、文明美導に用いる手法を細やかに調整する為の道具。