2006年7月2日

詩学

人間が生き残ったことは楽観視すれば正解だった。文明の進歩はそのまま、生活における幸福の度合いを増し続け、産まれて来た事をより大きな喜びで満たすだろう。だが一方で悲観すればそれらは社会的抑圧の領域を増し、外的な類内競争の乱暴を穏やかな個人間へと内部化していっただけで実際には諸法無我の結諭たる絶対的孤絶の悲しみは、知能の発達と伴に益々深まっていくばかりだろう。
 悲惨な戦争はなくなっていく。だがそれに併せて、人々の間に交わされる抑圧も深まっていかざるを得ない。人の使命はあらゆる社会的機構の力で暴発を防ぎ、浄化の矛先をめでたい調和のそれへと転化していく試みだ。そうして地球世相の表面から悲喜劇を逓減することを目指さなければならない。