現代文明は地球的なもの。その基礎は、数学にある。人間の手足の指の総数から考じられたであろう十進法が人間原理に基づくのは疑い難い。生物学的進化の結果として、地球重力の物質環境に適応した手足の指の本数が、宇宙における普遍性の基礎となり得るかは疑問だ。故に、現代文明が真に普遍的で且つ不変の活動であるかは未だ知れない。
十進法に基づく代数学を只の記号と考え公理として見なさなければ、幾何学に含まれる論理、数学的論理こそ普遍文明への鍵であると分かるだろう。故に、数学を通して科学の全体へと進入し、そこから宇宙の全体系を理解しようとする知的姿勢が人類という生命体にとっては死活の命題だと知れるだろう。
我々の文明を潤すあらゆる生活の利便は、そのような学者の必死の努力の棚からこぼれ落ちた牡丹餅に過ぎない。かつて科学なきところに生活の安心も理想の幸福もなかった。あらゆる役者が登場し派手に演技をしては消えたが、実質の社会進展は常に、学者の先覚知能が悟った学習成果の伝承に従って来たしこれからもそうだろう。