2006年3月10日

神様

麗しい若者よ、君はなぜそんなに苦学するのか。世の中を診たまえ。大勢は常に愚かしい。猿と変わらぬ戯れ事にどうして君も混ざらないのか。奴らは余程満足している。馬鹿げたお喋りと青春の浪費にね。どうしてそれを一緒になって謳歌しないものか。
 君は一体何と戦っているんだ。賢者が教える通り、老いた後の悠々閑寂たる生活での自尊自足の為に、その若い有り余るエネルギーを投資しようとしている。そして死して聖者の列に加わって、君は満足するのか。
 生きる意味を追い求める者、若い者。低級な充足の為に社会へ順応していく同級生に別れを告げよ。君が歩く道は険しいが、楽しく、高らかな道だろう。そして終点に着いたとき、君は白髪の老人になって宇宙の体系を何もかも悟り、地上の数々の遊びの群れを天から見下ろす。君はそのまま努力を続ければ間違いなく、神様になれるだろう。だが神様が何だというのか。君は新しい哺乳類に過ぎない。どれだけ成熟しても、君は進化した猿の一種でしかない。たとえ神様のような猿だとしても、君はやはり、獣じみた習性、呼吸や食や睡眠や性や排泄や運動や休息からは逃れられない。そんな神にどの程度の意義があるか、高が知れたものではないか。