2006年3月27日

愚公

愚かな人間。どうして生きるかも知らず、死を目指して歩く孤独な。国という囲いを設けて同類を差別し、自らの権益を潜在顕在的に伸長させんと欲す。そしてぼりぼりとあれこれ構わず生き物を貪り、自分の肉体と頭脳を満足させる為の活動に東奔西走して過ごす。
 本当にお前たちに生き残る価値があるのか、己の胸に聞くがいい。田畑を耕し工場を造り、事務所に働き機械を弄る。それが君たちの威厳なのならば、人もまた闇雲な生存欲に駆られる哀れな一塊でしかないだろうに。
 海から上がり山を下った。平野に建築し、いつしか都市という自分たちの為の住処を造成した。そこに暮らして日々暇つぶしをする悲しい存在。自ら尊べ。どうして他のどこかに、人間を賤しむ奴がおられようか。お前たちに考えられる以外の理由はないのだから。