2006年1月27日

自然と共に去りゆく者たち

失われていく風景のどこかで君は何かを探していた。それは何。世間知らずの若者が既成社会に適応するまでの物語。その問いに答えがあったのか。僕は無数の行き着く果てのない反抗や堕落を目にして来た。誰かは名も残さないで消え去り、少しずつ異なる香水のかおりを記憶に残して街の底へ沈んでいった。成金になりたいの。違うよ。だって僕は世の中が自分を必要とし、僕の努力で世界が少しずつ良くなっていく、という実感が嬉しいだけだから。あなたはどこへ行くのだろう。僕はどこにも行かない。地球のどこかの小さな島で冬のある日にぽっこり産まれて、いつかはまた春の桜が散るように儚げに死んでいく。
 誰かが君を呼んでいる。多分、自然がまた次の時代を予告しているのだ。君は自分の手足がその環境を住みやすく作り変えていくのを知る。そして古くなった者たちは少しずつ土に戻ってく。いつかは君もまたこの星を物語る基礎構造に還っていく。
 人はそして本当の明日を追い求めて歩いている。そこには希望があり、挫折がある。偉人たち。それから世の中はますます自然になるだろう。美しい旋律が勇者を称えている。しかし、その時もう、僕はこの世にはいない。