封建制の段階で初めて一般に自覚された日本独特の求道の感覚が、現代の国民性の根幹を形成している。それは隔離された国土における季節風に根ざした甘い自然への深い共感に基づく、命を軽く見るという特殊なidentityに翻訳され得る。彼らは個々人を全体に対しては取るに足らない部分として観る。だから命は根源的に、幾らでも再生可能なゲームと同じ感覚なのだ。民主主義の伝統は古代ギリシャ以来、個人中心の分限道徳に由来する。日本がアジアでいち早く産業革命に基づく近代化に成功したのは、中国文化の固定観念から自立していたからだろう。社会制度を超えて道徳律そのものをも摂取した時、狭い島国らしい和を重んじる精神と自由の理想はより高い次元へ飛躍し得る。それは人類史に関して重要な地球的文化を生み出せる。