近代建築の主題、建築芸術の理論的可能性がミース以降進展された試しはない。そこで全ては既製品であり、独創性は歴史上の価値を持たない。彼の追究は終始一貫して普遍性に対するものだった。ミースは高層化と長梁間建物の可能性を建設的工業化に則って開拓した。
自然との調和意志といった環境工学的改良とか、人間文化的概念とかで計画自体の抜本的刷新の不毛をごまかすだけの戯れは後近代といわれてきた。
新しい建築を造る為の理念は極度の単純化にあるのだ。都市から詳細迄超個人的な技量で貫徹された単純さ。そこに合理主義と地球人の建築文化が到達し得る審美の究極地点がある。宇宙都市の建設。妹島和世建築を見よ。