2005年9月18日

届かない光。君の指先に触れそうにはなるけれど、いつもあと少しのところで逃げ去ってしまう永遠の夢。それは君を導く。遠くへ、遠くへ。要求するものが手に入らないことは問題ではない。満たされないことは希望である。では、君は何を問うのか。何を思うのか。幾度でも繰り返されて来た物語がまた始まる。それから紆余曲折を経て終わる。人生。それ以上でも以下でもなく、否定も肯定もし得ない営み。生み出され、暮らしてから、死んでいく。生活。そこには何もない。何も。けれど全てはそこにある。旅を続けていた。理由は知らなかった。知りたいと思ったことすら無かったのだ。バラバラに解体された星屑がいくつかの理想を語っては消え行った。そして君は独りだ。歴史が様々な場面を描き、消し去る。目の前に映像を形づくり、流し去る。何も残らない。誰も生き抜かない。不安定な形態が自立して曲を奏でている。無限の組み合わせから特別な構成が選び抜かれて、並ぶ。ここが世界だ。よそには何もない。誰もいない。問題はない。解答がない。運命が遊んでいる。心地よい空間が現れる。そこに君を誘う。「連れていってくれ!」大地が隆起しては陥没する。大空に雲を設置したらどかす。「連れていって」君は地球の中心に向かって叫んだ。けどそんな声にどんな意味があるというのだ。無理難題を押し付けるには宇宙はあまり法則的に過ぎる。君は太陽系の旅人だった。この世を自在に横断する時間の冒険家。