自分は世界で最もよい音楽はアルバムでいう『ワルツ・フォー・デビー(デビーの為の円舞曲)』なのではないかと思う。ビル・エバンスの。特に冒頭の『マイ・フーリッシュ・ハート(私の愚かな心)』と表題曲への流れがいい。そして、自分はそんな音楽なり絵なり――文なり、ほりものなり建物なり――を作ろうとしているのだろうと感じた、けさ。といってもこれを書いたのは、すでに何度も推敲する前のきのうだけど。
最近聴いてるのだが、改めて。
いつも車運転中とかにこのアルバムかけているのだけども。どこで手に入れたか忘れたっぽいが、ずっと聴いている。いや正確にいうと憶えている範囲で、多分、東京の保谷の図書館でかりたのだったと思う。CDロムに焼いたのをもっている。
あの青いCDロムはそのころ僕が買ったものである。ソニーだったかもしれない。メーカーは。日立マクセルじゃないとおもう。そっちは白いやつでもっとあとに買った。青い、というかなにいろって言ったらいいの。青緑がかったあおいほうのCDロムをてにいれたのは、自分が17歳から18歳のころ、その周囲にいた都内池袋あたりの西武池袋線ぞいの椎名町駅前ツタヤだったと思われ、今にしてみても、それからずっと聴いているのだ。
何気なく手に入れたので。ほか、あのころその図書館というか、下宿の近所の分館みたいなところに一杯ジャズのアルバム群があって借りれたので、コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス(私のお気に入りの事ども)』とかも手に入れた。マイルス・デイビスも色々借りてCDに焼いて、聴いてた。彼のキャリアの最後の頃の『アガルタ』(その2)、『パンゲア』とかもやばいことはやばいのだろうが、長編小説的で、全体がだれてはいるので、結局かれの全作品中の完成度にあっては『マイルス・イン・ザ・スカイ(空の中にいるマイルス)』あたりがベストということになるのだろう、と自分は感じた、筈だ。当時は。ピコピコマイルスが。しかし、である。
もうあれから20年もたつけど、唯一、『デビーの為の円舞曲』だけがヘビーローテーションになったのだ。ヘビーローテーションなんていわないけどね。普段。そもそもそれなに。重い回転? 日本語で流しまくりとかか。ずっときいているのですよ。これぞアートとしかいいようがないまじで。唯一。毎回とりもどすみたいに。というか車の中に何もって行こうかにゃ、これか、みたく。ユーチューブでなにがでてくるかにゃ。みたく自然に。なにがいいたいかわかるだろうか。
僕がおとなになってからあれなんだったんだろうと気になって、わざわざ小4のときにやった『MOTHER2』をやり直そうと、ゲームボーイミクロ中古で買って、『MOTHER1+2』で2からやる。そういう感じ。
すべての雑音が消え去ったあと、ただひとつ響いているもの。それが名曲なのだった。