2020年9月23日

公害による汚染は金銭勘定で永久に保障されえない

池田信夫氏「反原発派は(1)確率という概念を知らない(または確率を1と暗黙に想定している)、あるいは(2)費用と便益の比較を知らない(または費用を無限大と暗黙に想定している)のどちらか(ほとんどの場合は両方)」
確率を知っていようがしっていまいが自分の土地の近隣に、東京都民が公害施設を作って事故の確率が低いと言い繕っていながら、実際に公害の被害を受けた側、そして一円も保障されていない(そもそも環境汚染にまつわる被害は、自然に対しても心理・精神に対しても、金銭で保障できない)側からいえば、池田氏は公害の概念を知らない、もしくは利害対立の両方の立場からみる知能を欠いているというべきだ。
 即ち1か2いづれかに反原発派が収まるわけがなく、
A.確率が低くとも取り返しのつかない致命的公害が起こりうる場合、その外部不経済は事前に内部化されねばならない(公害防止)
B.自然環境汚染・人及び生物への身体的・精神的傷害は金銭で保障されうるものではない(汚染による加害行為の時間的・空間的な無限定的責任)
を知らない池田氏が、想定できる人間観を極めて狭隘な「損得勘定」で公害を誤って計算しているというしかない。さらには
C.公害被害者の立場から見る能力を欠いている経済学者が経済価値(特に金銭勘定)を他の価値倫理より優先させてしまっている場合、公害を金銭的な費用対便益でのみ見る誤りを犯す