2匹のヒトのオスがそれぞれ、15才メスと50才メスのうち、前者を性的に好む傾向があった時、のちメスが求愛を受け入れたと仮定しどちらの遺伝子が直接残り易かったかなら前者である。がこの事実は娘盛りをすぎ出産願望を残した過半のメスにはごく都合が悪い。こうしてヒトのオスの本能は抑圧される。
逆に、2匹のヒトのメスのうち既に社会的闘争に慣れ一定以上の生活資源を有するオスと、そうでなくまだ幼い同年代オスのうち、前者を性的に好む傾向があった時、しかもメスは出産可能年齢が限られているので、前者のメスの方が一般的により子孫を残し易い。この点でも、ヒトのメスの本能は抑圧される。
ヒトの社会的抑圧をうみだしている一因は他個体による利害関係を伴う嫉妬であり、これを解消する目的の法・倫理ミームを拘束的教義として広め、ルール破りの個体を集団虐待し抜け駆けを防止しようとする。
だが利己的な個体はこの虚構を見破っており、何らかの抜け道を使って例外的に繁殖している。こうして、少なくとも性規範に関する法・倫理ミームは、多くの羨望を集める魅力的個体の繁殖防止に一定程度しか役立たない。