2019年5月11日

市場における総投資額の増大は必ずしも消費増に繋がらない

(国民・政府・企業の投資を基盤にした二次的消費を増加させる仕組みづくりが、個人消費主導の一次的消費より国家経済の強大化に重要とするツイートへ)
>企業の事業投資が増加→企業の利益率上昇
これはなぜ起きると?
 企業の利益率って、事業投資額となんらかの関係というか、比例関係あるのですか? 例えば大金を使っても利益率が低い業態(このサイトの主張では機械、菓子、化学が低いみたい?)もあれば、IT(ソフトウェア)みたいに小資金でも利益率が高い業態もあるのでは?
>個人投資家に還元→個人支出or投資額がさらに増える
個人投資家の個人支出は伸びるかもしれないですが、一般消費者って投資してないし、相当高い確率で今後もしないじゃないですか? その上、積み立てNISAは途中で下ろせないですよね(後述に補足あり)。積み立て投資でも基本的にそうなので個人支出は減るのでは?
「個人、企業、政府の投資を基盤にして、そこから二次的に消費が生まれる仕組み作りが重要」というのは、例えばアメリカは個人投資が普及し(保有世帯率は50%)、年金運用もGDP比12%、企業も株主資本主義的でそれに近い状態だと思います。
 村上世彰さんの『生涯投資家』を読んだのですが、彼は米国風のコーポレートガバナンス導入などで日本企業の慣行的な株式持合いなど、内部留保されている余剰資金の滞りを市場に還流しようとした(後述に補足あり)ら、東京地検から逮捕されてしまった。それで改革成らず、株主資本主義は浸透しなかったみたいです。日本企業、或いは日本の市場って独特の情実で話が進んでいて、米国と文化が違って株主中心の企業統治に改革はできない。社員出身の経営者が会社を自分の持ち物だと考えていて、しかも株主還元を保身より後回しにする。政府も、労働者・経営者一般もこれを正義と考えていて投資家を金の亡者扱いする。
 日本政府が個人投資を煽ってるのは確定拠出年金や子供NISAをみればわかるとおり福祉支出を自己責任の範囲におしこめ減らしたいからで、決して投資家の利益を図っているわけではないと思う。現に仮想通貨税制をなかなか改革しない。個人投資普及の目的があなたと政府では大分違うのではないですか。
(細かい補足。
1.積み立てNISAは途中で下ろせない→途中で売却することを前提にした制度ではない。投信の売却は可能。
2.株式持合いなど、内部留保されている余剰資金の滞りを市場に還流しようとした→厳密には株式持合いは内部留保ではない。事業投資または自社株買いで株主還元させようとした)
私がいいたいのは、個人投資の普及はある程度スマホ等で手軽になって米国に近づくかもしれないけど、1.日本政府は福祉をけちりたいだけ 2.日本企業は保身が株主より優先 の2点は先ず不動なので株主資本主義になりづらそうな上に、消費が企業の主な利益なので投資家以外にも消費させた方がいい。
 一般消費者が消費しないのは家計に余裕がないからで、米国流株主統治を導入すると人件費圧縮したがるから或る意味で逆行するともいえる。個人投資家の多さと消費性向の高さは恐らく擬似相関で、米国人は楽観的で貯蓄したがらないしリスク選好度も高いんでしょう? 日本文化で投資即消費拡大ではない。
 前少し政治広場でいってた話に戻ると、もし日本が社民主義的に基礎収入を保障したら多少は楽観的になって消費する意欲が起きるかもしれないけど、日本人の低セロトニン脳の性質からいって不安がって依然として貯蓄性向は高いままだろうし、そもそも労働信仰があって実現しないからこれも十分ではない。あなたは投資を煽れば消費拡大する、といっている。本当にそうなのだろうか。少なくとも論理的整合性はない様に思うけど、政府がそれを煽ってるから「政策に売りなし(官の仕事は確実なので該当の株は値上がりし易い)」の立場はわかるが、証券会社に踊らされて安倍退陣後に大凋落するのを煽るとしたら恨み買う。