消費税は日用品の無税を前提とした軽減税率と組み合わせる限り、累進課税でしかありえず、しかも最終負担者は増税後の値下げ圧力にさらされる企業であって消費者個々人ではない。消費増税による景気悪化とされるものの実態は増税分を値下げで対応できない企業の収益悪化であり、消費者側は再分配後所得が寧ろ増える結果になるだろう。法人増税を企業献金を受ける自民党がしたがらないので、安倍政権は消費増税という自民支持者らの嫌がる政策で補填しようというのだが、上述の理屈で消費税は「付加価値税Value Added Tax: VAT」という名義に代え先進国並みにあげても、価格転嫁できない低収益企業の内部留保が減るだけである。
これらの付加価値(消費)増税論を日本の一般国民が理解するのは難しいと愚民視しつつ、俗受けする消費減税論によって企業に有利で、労働者や低所得者を含む一般国民に不利な政策を採用させようという野党側の意図は、実際には混乱を含んだものといえるだろう。寧ろ安倍政権側はこの点で良心的なのだ。違憲立法や数多の不正行政など、これ以外の点での悪政が余りに激しいので、安倍政権を交代する必要があるというのは正論だが、消費増税の本質について冷静に理解し、国民一般を騙すことなく、それが軽減税率と組み合わせれば累進課税であって、しかも企業が最終負担する結果になる、と啓蒙するべきだ。