2016年8月31日

商才について

心卑しい人間とつきあうな。自分より劣った者に馴染むな。尊い人に私淑せよ。劣悪な配偶者は不平の原因である。
 金銭や贅沢の為に仕事を択ぶな。蓄財は利他の為にしか用いようがない以上、単なる負債の権利である。
 幸福は程度であり、劣悪な人間は不幸を超えない。幸福は中庸の強度であり、劣悪な人間は徳の実践に於いて極端である。善悪の中間を凡とすれば、凡のよさは善に劣る。人は善の実践においてのみ中庸を保つべきであり、凡においてではない。善の実践において中庸が最上なのは、過度の利他行動は自己犠牲として、助ける者の債権を助けられる者の負債感情に残してしまうからだ。人は善の程度に応じてのみ幸福なのである。ここでいう幸福は、最も質の高い快楽である良心の満足と等しい。最高善を完遂させた生涯は、聖なるものとなる。
 商人らは漸次亡び去る。人は商業を離れて暮らす方が優れている。聖者らは商業を拒んだ。人たるものは金銭を離れて暮らせ。最上の幸福は閑雅と全く同じものである。生業において暇と精神の余裕をえられる者は、忙殺される者より幸福である。人は各々自らに最も向いた職業に就くべきであるが、商才は一つの呪いである。蓄財は怨みと不平の原因で、商才は避けようもなく関係者に負の影響を与えるからだ。