哲学と呼ばれている傾向は荒唐無稽な体系、新観点、仮説的思考によって既存の科学、知識、技術、歴史、現実社会等の体系的体制を疑義させる。これ故にそれは無用ではない。ある目的にとっては、それ自体が目的なだけである。
究極のところ、哲学自体が道徳の目的物である。最も簡単にいえば、絶えず考え直す習慣づけ。ある物事について完全には信じ切らず、疑い、完璧や絶対を否定する態度。常に賞賛を惜しみ、理屈っぽく、安易な行動や並べての政治的実践を拒み、最後まで口先だけで批判的である事。成程、ソクラテスが当時の体制に疎まれた訳である。