2009年12月28日

公営計算機論

高速計算機自体が無用なのではないのは明らかだが、問題はその「使い道」にある。どれだけ磨いた刀でも乱剣にかかれば致命傷となる。

高速計算機の価格を機能にくらべて割安にする最善のしかたは、いわゆる一般競争入札の方式をとることだろう。こうすれば、研究所ふくむ各社の潜在開発能力をひきあげる効果すらある。
(より詳細には、分割した各部の最適化をプランニングしておいて、この枠組みを最安値でつくれるメーカーをくみあげるとはやい。1メーカーの寡占ではおそらく全体を賄う費用負担によって時間の面でムダがでそうだ。
それは一括委託だと予想外に細分化が進まない、日本的な下請け体制の連結ロスにつながる。つまり職人の真の実力やつかいみちをしっているのは実務に携わる棟梁の側であっておおやけの経営者ではない。
だから直近の利益や株価の上下動にしか知識のないこの大企業のおもてだった経営陣ではなくて、専門官僚を使う発注者の綿密な計画にもとづいて「棟梁の実務能力」を抜擢する様にすればアーキテクチャはより効率化する。これが『分割発注の合理性』である)

 対して、今日の段階では、米とのすみわけの方が国際的評判にもまた安全保障にすらより親しいみちらしいのだから、普通の政府開発(おもに国防用の)とはちがって、その用途を特別の計算局で管理させることは有用だと思われる。
具体的にいうと、能力が不足した国立大学の低予算コンピューターを補う用途を、なんらかの透明度の高い公募によって開いておけばいい、と考えおくのが妥当だ。

いいかえれば非常に高純度のデータベース化が必需となる天文学や気象学の計算を、防衛関係の偵察用途が空いている間に走らせておく。この「公営スーパーコンピューター転用のいとま」を事前に考慮できる規模としてある程度充足するとおそらく、か確かに日本のシミュレーション系基礎科学の実証主義の発展は、遥か米の高国防費負担状況時より高速化できる。そしてかくの結果は、将来像について日本の宇宙展開をいずれどこよりも容易にする。