中国沿岸部の重工業化は紛れなく、偏西風の風下、約2~3千km圏に対する酸性雨その他の国際公害をもたらす。
我々は第一に「沿岸部工業開発の中止」のために、日系企業への工場立地規制を国法の範囲で直ぐにかけるべきである。すなわち内陸部に限り重工場の建設を認めるが、その前提に脱硫煙その他の公害対策を義務付けなければならない。
第二に、既に被害が及び出した沖縄諸島を来るべき将来への警鐘とし、沖縄県最南西部の最も敏捷な地に「偏西風観測所」を設け、ここを次に示す汚染被曝防御対策の基地とせよ。すなわち200海里水域内における降雨を遮断壁とし、この時点で可能なかぎりの公害飛散を防止する。
この為に有用な方法を示す。これまでに実証的に発見されている人工降雨の最有力な手段は、1cmほどのドライアイスの粒を雲頂-7℃以下・雲厚1500m以上の範囲へ投下することである。
又これに併せて自然の千恵を借りる方法を示す。観測所付近の潮場にアメフラシと呼ばれるウミウシの一種を飼い、専用の公務員を宛てがいよく観察するがいい。この生物の名前は、潮場から表に現れるのが降雨直前の大気が湿りだした頃であることに由来している。つまり何らかの特殊器官の進化により、非常に高い精度で大気中の湿度を見分けられる、極めて有能な生物である。従ってこのアメフラシが普段より見受けられれば、たとえ人為的な観察精度によれば付近での降雨の確率が低い場合でも、必ず積極的に前者のドライアイス投下法を実行すれば遮断効果を倍増しうるだろう。
因みにこれらは通常のゆっくりとした偏西風に有効な法律案内だが、圏層付近まで上昇しジェット気流化してしまった分についてはまた別に拡散防止ないし害毒浄化策が必要とされる。また、観測所は予備として鹿児島、余裕があれば長崎にも置くとよい。なお温帯でアメフラシが既成生態を充分発揮しうるかは未知数とも。