自ら然りして発露し、地表を
辷る人模様。
神奈月の流れるになびく
無性の清花よ。形見を為して、柳に
垂る。輝々として
雪崩りゆく満開の桜桃歌に
斑の王子が写る。
さりとて信ずるでもない。暫くすれば旭の礼頭温と共に枕の琴音が
蒼る。
庭鳥が吠う。
山端に乱る
紅の
音符よ。昇華されし品詞が舞う様言の葉の秋に酔う迄
不忍や。
滝川の流々と詣でる
柵に揺れて
雲雀がわなゝく白天に我。待つ宛とて知らず、目当てとてなき玉鬘。
夢現に惑い孵り照る空色の悠尋。唐笠を挿して這う
人時雨に紛れ、往時猶今
訪わん。去れば
楽しき哉。かなし。
心地の侭にすら風に消ゆべき藍の岸。
魚の群、自動車の
灯、
情仁らのいとしき囁き。拡がり行く大気へ
不知火の矢を射ぬく花火へ。薄紫、血潮、青碧、白金、黄土、濃紺。
果なけり。やゝもすれば船になる。
游びに仕舞う雲になる。文に想えば色になる已徒然し。省みる亜細亜の
旅人。