2019年5月4日

相対貧困(資産・所得等の経済格差)が不幸感の主な原因

生の悲劇は貧富に関わらず人を襲ってくる。種類が違うだけ。金持ちの苦しみの方が楽だろうと想像する人が多いなら、なぜ日本の自殺率の方が一般的途上国より高いのか。例えばある途上国で若者が日本人貧者より絶対的貧困の中にいても、周囲も同等程度に貧しければ格差からくる嫉妬の苦痛を感じづらい。
 思うに、相対貧困、他人と比べての嫉妬の痛みが、人の主観的な幸福感を決定的に損なうものなのではないだろうか。この意味で先進国だからといって社会的格差が大きな国々では、住民の幸福感は大して高まらない。低格差を社民党政権が推進してきた高税率・高福祉の北欧では、主観的幸福感は高い様だ。戦後、高度成長期を経て一億総中流から、小泉政権下での新自由主義導入以後を体験した限り、確かに、小泉以後の社会の方がギスギスしていて非常に不快だった。それ以前も虐め問題とかはあったにせよ、自己責任論的な生きづらさは少なく、頑張れば成功できる、皆仲間だみたいな共同体の雰囲気があった。小泉政権の格差拡大を修正しようとしたのが民主党の鳩山政権だったとすると、震災前後の混乱で政権交代後、自民党の安倍政権は再び格差拡大路線に突っ走って行ったのだが、これを不安に駆られた一般民衆が強烈に支持したのを私は目撃した。自己責任論とは別文脈で自民党支持者の自業自得の観はある。
 日本人全般はGHQ・皇室・戦後政府の連携で赤狩り以後、社会主義を表向き弾圧してきたので、現社民党の支持率は拡大しなかった。それで日本政府は米国の日本操縦者の言いなりとなってトリクルダウンや現代貨幣理論の実験場とされている。つまり格差拡大や政府負債の無限増大は壮大な失敗例に過ぎない。平成末の日本人一般は不安脳のせいで不健全な保守主義に陥り、しかも一部の日本株投資家に唆されてアベノミクスという社会実験ぶった格差拡大策を後押ししていた。もしジム・ロジャースの予言が正しければ、安倍退陣後、日本経済凋落の直接原因は、この政権がGPIF・日銀に企業国有化させたせいとなる。
 それと、金持ちに人生の苦痛がないかといえば、そもそも金持ち側からすると貧民と同じ国に住んでるのもかなりの苦痛だし、それどころか幾ら貧民を見下すために過度の学歴つけたり装飾品身に着けても切りがないし、上には上がいるし、自慢も実質さもしい訳で、虚栄心の自覚に関わらず別の不満はある。つまり貧民も金持ちもそれぞれ別の不満を抱えつつ、片方は羨望し、片方は虚しいわけで、新自由主義的な社会秩序自体がある種の劇場に過ぎない。金持ち側に入る確率を下げ、貧民側の期待感を煽るというのが総元締めである天皇だの政府の都合で、要は賭博的原理で弱肉強食の競争させていると。