時は令和時代。所は東日本のとある街角。登場人物は京都人、東日本人、アメリカ人、仏教僧、天皇、皇后、警察官数人。
木靴で烏帽子をつけマロ眉にして束帯でよろよろと歩いてくる、平安時代上方意識のままであたりを見下した様子の時代錯誤な令和京都人「(目をひん剥きぎょろつかせ、首をくるくる回しながら)アヅマエゾがぁ〜!」
先に舞台で待っていたスーツ姿の東日本人「あら、どこからこられたの? おかけになって。お茶でもどうぞ」
京都人「アヅマエゾがぁ〜!」
東日本人「え、なんて?」
京都人「アヅマエゾがぁ〜!」
東日本人「はい? なんて申されましたか?」
京都人「アヅマエゾがぁ〜!」
東日本人「(全てを悟った様に)あぁ。わかりました。ではお待ちを(そそくさと舞台を去る)」
京都人「(キョロキョロしながら不安そうに)アヅマエゾがぁ〜!?」
スティーブジョブス風ジーパンに長袖タートルネック姿のアメリカ人「(舞台へ歩いてきて声をかける)ハロー、ようこそ都会へ」
京都人「(人がきてはじめ喜びながらも、都会と言われたので京都プライドを刺激されひどく憤慨した様に)アヅマエゾがぁ〜!!」
アメリカ人「エクスキューズ・ミー? なんていいましたか?」
京都人「アヅマエゾがぁ〜!」
アメリカ人「オォ・マイ・ガッシュ(頭を軽く抱える)。(首をすくめ、両手を天に向け)では左様なら(舞台をすたすた歩き去る)」
京都人「(幾らか悔しそうに、しかし満足げに小声で)アヅマエゾがぁ〜」
糞掃衣で托鉢中の仏教僧、虫を踏まないよううつむいて舞台へゆっくり歩いてくる。
京都人「(途中までその様子を眺めていて、調度舞台中央部で急に大声で早口)アヅマエゾがぁ!」
僧「(驚いて)わっ。(京都人の顔をみて二度驚き)うわっ! ごっ、ご成仏なさいー(手を拝む形にして、頭を何度も下げ、足早に舞台を去る)」
京都人「(がっかりした様子で)アヅマエゾがぁ」
天皇と皇后「(お手振りしながらにこやかに舞台へ歩いてきて)ご機嫌よう。ご機嫌よう」
京都人「アヅマエゾがぁ!」
皇后「(驚き慌て天皇の手を引いて)どうしましょう」
天皇「(幾らか動揺しながら京都人にゆっくり声をかけ)どうされましたか?」
京都人「アヅマエゾがぁ!」
数人の警察官ら「(凄い勢いで舞台に入ってくると)こら、何をしている。(天皇皇后と京都人の間に割りいって)やめなさい」
京都人「(捕縛され舞台から無理やり斥けられながら、観客席へ大声でひどく悲痛な感じで手足をばたつかせ)アヅマエゾがぁ〜!!」
天皇皇后、ほっとした様子で観客席へ再びにこやかにお手振りしながら、舞台を去る。