オタク達、特にそのうち若害達は自分達の悪趣味を合理化してくれる人々を仲間とみなし、そうでない相手を匿名で攻撃し続けた。結果、弱知化していない情報を意識の外に追放し、代わりに入試偏差値順の学閥位階制という全く論外の――原理的に人間性と関わりがないので、不合理な差別に過ぎない――カーストへ進んで服従し、社畜・国畜として世襲の皇族、政治屋や科挙(受験)上位者らから管理されることを望んだ。
彼らが通例、猛烈にゆたぼん父子を叩くのは、完全に、彼ら自身が熱狂的な作り手である学閥カーストへの服従者だからである。この一見明快な数値で人間的価値の凡そ全て、特に生涯賃金が示されると(時にご都合主義な社会学論文を引用しながら一般化し)彼らが信じている位階制は、彼ら労働者集団の思考停止にとって最適な差別なので、そのしくみの維持強化へ認知的不協和をもたらす対象へ異様な攻撃性を示しているのである。
東浩紀一味はこの種のオタク的行動類型を寧ろ、しばしば決して否定的とは限らない文脈で動物化と評していた。だがいうまでもなく、その末路は昨今の都政・国政にみられる、救いようがない衆愚政治だったのだ。
東京圏・関西圏のよう極端に商業化された地域の人々を中心に、日本の相当部分は、この新興宗教――今から振り返れば邪教であるが――にかぶれ、サブカル教祖の諸説をうのみにしていた。通俗娯楽の礼賛は、往々にして無教養な彼らの日常生活にとって都合がよかったからだ。
次にでてきたのは、ニコニコ動画配信者も流れ込んだユーチューバーであり、そこに溢れかえっている釣り・煽り式の質の低い虚偽情報の山であった。動物化しきった日本人の年少者一般は、今度はむさぼるようチューバーを偶像と崇めつつ、大金を貢いだ。
かれらはその中でも学閥位階制の上位に位置づけられる影響教祖として、茂木健一郎、(学歴では微妙だが)ひろゆき、ダイゴや中田敦彦らの動画を、より大乗的なUUUM・VAZ勢の娯楽系チューバーと並んで、「教育系チューバー」と評価し信じ切る様になっていった。同じく人気を博してきたホリエモン、与沢翼、イケハヤ、キングコング西野や青汁王子ら商売系(ビジネス系)チューバーの一部は、有料動画または音声配信に軸足を移したので、チューブ信者の残党勢は各教に程あれ分散しつつ、彼ら陣取りチューバー衆を一種のスピリチュアル(霊魂的)な教祖として絶対化する様になったのである。
こうして日本の若者一般はチューバーの手先の様になり、まさに若害と呼ぶにふさわしいほど暗愚な言動を繰り返す様になったのだ。彼らの世界観にとって無謬の前提は「(何とかというユーチューバー)が言っていたから正しい」であり、これについて何の疑いもいだかない。当然ながら、かれらは、倭チューバーについて何も知らないに等しい海外の様子など全く知らない。知るつもりも関心もない。それほど一般に知能が高くないからだ。寧ろそれら倭チューブ界の主流あるいはそれを補完する学閥位階制に反する意見の持ち主を、SNSや現実社会中にあふれながら、不当なぬれぎぬで全否定し、猛烈に攻撃し続けている。なぜならかれらにとってこの作業は、全体が同世代中心の国民社会主義的な宗教儀式――いわば倭チューブ教であり、すなわちインフルエンサー教義への集団狂気的な絶対服従だからである。
ツイッターに群れ、匿名で日々誹謗をおこないながら集団虐殺をくり返す人々は、斯くして倫理崩壊していたIT黎明期世代から、マーケティング上の搾取標的としてはぐくまれたのである。
なお、賠償金30億円以上の人的被害をもたらしつつそれを踏み倒し続けている無法者ひろゆきの仕切る2ch・5ch・4ch・8chや、そのまとめサイトが、これらとりかえしのつかない国民匿名暴徒化の病巣になっていたのは確かである。ヤフーコメントやはてな匿名ダイアリーなども進んでそれら匿名犯罪国家づくりに共謀していたのが事実であった。のちIT担当相になった自民党員・平井卓也自身が犯罪に使ったニコニコ動画の匿名コメント弾幕も、みたび、ひろゆき張本人が発案・関与してつくったしくみであることを我々は忘れてはならないだろう。