2015年7月8日

道の政治

誰が死んでも悲しまず、誰が生きても喜ばず、人間の利害損得を一切離れて、天地明道に基づいて政治を行わねばならない。俗人は天子にあらず。考えのままに地位がなるべきである。正しい考えをもってれば自分の地位がどの程度か、身分にかかわらずそれで十分である。もしその考えが完全に正しければ必ず自分の身分もあがって己が世界の指導者になり、考えが間違ったまま無理やり地位をもとめると絶対に失敗する。世界の支配者はそれにふさわしい考えを持つ人が、ひとりでになる。なぜ失われる地位があるかといえば、考えと地位に矛盾があるときだ。もし本当に偉大な政治思想をもっていれば、自然にその身分を得るはずである。王にせよ貴族にせよ。
 向上心とか理想、悪い意味でいう野心や野望は、考えと身分を一致させるまでその人間を働かせ、仕事させる。身分と理想が一致するまでその人は行動してしまう。老子が無為にしてなさざるなし、といったのは無欲に留まれば隠者になれるという意味である。哲学はこうして、よりすぐれた理想を常に生み出しなおす為に必要である。哲学は停止せず、継続される。理想は更新される。