とても大昔だから誰も憶えてない
沢山の花びらが散りゆく丘のうえ
人はなんの意味もない風として
ただ同じく散りゆくものだった
人を留めようとした最初の子は
それを壁に打ち付けてみた
絵になった今が留め置かれてのち
人はこの世に飽き足りなくなった
もう誰の記憶にもない昔話
少年がみる世界の内側には
絵になってしまった多くの大人
彼らには昔風だった思い出もない
少年は風になり
この大地を駆け巡るだろう
何にもならないことを厭う
その大人集団には嘘がはびこってる
少しでもみちから逸れたら負け
何にもならない人生などありえない
砂浜に生えてきた濱菊と
それを洗い流す大海原
台風が通り過ぎてみたら
鴎の亡きがらが残されている
もし風の声がきこえるのなら
大地を駆け巡るあの声がする
このおおぞらの上の世界が分かる
全ては一瞬も留まらない
何にもならない今というものは
果たしてどこにもないのだが
神の眼差しに見抜けない
今というものはない
もし全てに因果があるとして
それは業の域にある
七色の虹だっていつかは
数えきれない数の色味に見えていた
神の与える奇跡をおもいみて
少年はこの世が広がり続けるのを知る
だが想像力のかぎり
面白味のない
平坦な道を歩む気分といって
他の予言通り
何もかも変わる
夏の香りでさえ