もし僕が八つ裂きにされれば
あなたの貞節が返ってくるなら
その方が楽だ
もしあの下男の血が
どれほど卑しかろうと
どれほど薄汚かろうと
その様な血を宿したあなたの生涯を
僕は殆ど毒蛾の様に感じ
今ではあなたの愛らしさが
一瞬で闇に堕ちた暗転後の引きつり笑いに思える
自称京都のどいなかの山奥で
あなたの魂は八つ裂きにされていた
だがもし自分がじかにやつら外道と戦えるなら
この心のつるぎはやつらを殲滅する武器だったのだ
もし時代が遡れるなら
九州には跡形もないだろう
京都には跡形もないだろう
東京にはなにものこされず
代わりに果てしない屍が転がっているだろう
いかなる苦難を経ても
とり返せないものがあるとして
それは自分の魂よりも尊く
またあなたの許されない罪をあがなう為のものだった